デライトブログ 第15回「クライシスプランの導入について」その1

デライトブログ 第15回「クライシスプランの導入について」その1

 

 

訪問看護ステーション デライト新宿  管理者 須佐 政晴
訪問看護ステーション デライト葛飾  看護師 杉 遥


この度、デライトは、『クライシスプラン』を導入しました。これは利用者さんの症状を表に可視化し、スタッフと連携した利用者さん自身が状態の悪化を防ぐという取り組みです。

今回は、デライト新宿の須佐看護師とデライト葛飾の杉看護師にお話をお訊きしました。

 

ーーまずクライシスプランというのは、利用者さんにとって予防的な観点の取り組みなんですか?

杉  そうですね。まず利用者さん自身に、いい状態と、状況悪化のサインが出た時と、要注意状態、青色信号、黄色信号、赤色信号の3段階に分けて自分の状態を書いて頂きます。
その上で、青色信号の良い状態の自分でいるために毎日したほうが良いこと、例えば散歩をするなどの対処行動をまた3段階に分けて書いて頂きます。
例えば、赤色信号のいつもより過剰に情緒不安定になる等の不調のサインに気づいた時に表を見て、赤色の時にできる対処行動として寝た方が良いと記載があれば、自身でその対応をして頂きます。
これは自分の状態を把握して、不調のサインや状態悪化に早期に気づき、それ以上悪くならないような対処をとれるようにするという取り組みです。

杉  それに加えて先生や保健師さんやご家族も含めて皆さんで、その方の今の状態やどんな特徴があるのかが、それを見れば全部わかるという記載をします。その表を通常の報告書とともに医療機関や保健センターに送って情報の変化をお伝えしたり、支援者会議でそれを見ながら説明をしたりするのに役立てるものです。

ーー利用者さんの取扱説明書みたいな感じなんですね。こういう時にはこうしようというのをある程度パターン化しておく。その上で担当が変わられても担当がその資料を見たら、利用者さんの特徴がわかるようにするという形なんですね。それは現在、既に利用が始まっているのですか?

杉  そうです。まだ始まったばっかりですが。

須佐 例えば先日までコロナで緊急事態宣言が出ていました。それも宣言が出るまでに色々過程がありました。それが可視化されています。可視化されたことによって多数の国民が理解を示したと思います。同じようにこれは精神症状の過程の可視化をするものです。利用者さんの精神状態を青色から赤色の緊急事態に変化しないように、早めに人との連携を作っておき状態を保つという取り組みなんです。

杉  つまりは、利用者さんの状態を常に安定を保てるようにするためのものなんです。

杉  利用者さんに症状の変化に対して、自分自身で対処して頂くことが大事だとは、以前から訪問看護の中で話題にあがっていたんですけども、それをきちんと表にして意識して毎日取り組んでもらおうということです。

須佐 そうすると新しいスタッフや経験がないスタッフでも、それを見ればその利用者さんがどういう状態になると赤色なんだとか、こういう状態が続いていれば青色なんだとか、それが分かる物差しになります。利用者さんの症状がスタッフ間でも共有出来るようになります。
今までは経験値の高いスタッフはある程度今あの利用者さん赤色だなと分かっていたけど、他のスタッフはいつもと変わらないから青色だと判断してしまうという、スタッフによる受け取りの差があったんです。
そこを埋める意味でも、風邪でいうと咳とか熱が出るのと同じように、精神状態でいうと幻聴が聞こえる、睡眠が取れなくなる、食事が減るなどその人毎の症状をスタッフ全員が理解出来るようになります。

ーー利用者さんとの信頼関係や距離感や経験の差に関わらず、発信するサインみたいなものを可視化出来るということですね。それは利用者さん本人にも自覚して対処するのに使えるんですか?

杉  利用者さん自身でモニタリング表をみて今の状態、対処できたかというのを本人に毎日記載をして頂いています。それを訪問と訪問の間はどうだったのか、悪くなったのならば何故悪くなったのか、そのための対処行動が出来ていたかどうかというのを、次の訪問の時に一緒に確認します。
それで記載が間違っているとやっぱり症状は良くならないんですね。
でも人間は生活の中でちょっと疲れたなと思ったら、無意識で休憩をとったり、刺激を減らしたり、自然の中に足を運んだりしているので、それが自分で意識して行えるように、出来るだけ表に自身で書き出して頂くという作業を一緒にやっています。

ーー最初の表は利用者さんと一緒に作り上げるんですね。でも最初の表を作るのは結構大変そうですね

杉  皆さんそう言われます。

須佐  みんな最初の表でつまずきますね。

杉  出てこないですね、状態や対処行動だけではなく、目標や夢も記入するのですがそういうのは本当に難しいです。ずっと辛いというか、症状に埋もれて生活されているのでそんな希望や光みたいなことは分からないと言われる方が多いです。でももっと身近な生活の目標みたいな、ちょっと散歩が出来るようになるとか、症状とつきあいながら何かが出来るっていう目標から聞いていっています。

ーーまずは身近な達成出来そうなものから。

須佐  そうです。海外旅行にいくとか宇宙飛行士になるとか、凄いドリームでは無くて。例えば、仕事を続けられるとか、毎日必ず夜眠ることが出来るとか、本当に当たり前の目標をたてます。そういう本人にとって続けるというのは結構大変だったりする小さな目標を作って、それを継続するにはどうしなければいけないのかを一緒に考えていきます。また悪くなった時はどういうふうに早めに対処したほうが良いかなというのも、もちろん一緒に考えます。

ーー実際に作られている中でどういう目標がありましたか?

須佐  僕が今やっている中では仕事をしたい人や続けたい人、結婚したい人など理由はさまざまです。まず目標を立てて、じゃ、目標を達成していくためには自分の精神面を安定させようという動機づけからしています。

杉  私の担当されている方達も同じですね。仕事をしていきたいという方、又は家で安心して生活していきたいという方。そのためにどうしたら良いのかという話をします。

ーークライシスプランは今まだ始めたばかりだと思うんですけど、導入してみてここはちょっと難しかったとか、逆にこれは役に立ったとかありますか?

須佐  僕の場合はなるべく症状の波の激しい人を選んでいるのですが、ある方は仕事の大きな山場が近づくと毎回調子が悪くなる方がいて、その時に赤色信号になってしまうけど、黄色の時点でそれを早めに関係機関などに伝えてみんなで共有したという方がいます。
その方はもともと少しコミュニケーションが苦手な方だったのですが、共有してもらったということで本人も安心に繋がって、そこからどういった行動をとったら最善なのか色んな人と相談しながらなんとか乗り切った。そういう良いパターンがありました。

ーーご本人も症状が悪いと、自分で自覚を出来たんですね。

須佐  そうです。多分自分は調子悪くないと思っているけど、でも僕から見ると症状が出てるし、クライシスプランの表を一緒に見ながら調子悪いよと言うと、そうかなって自分の中でも意識づけをしますし。

ーー表のおかげで本人も気が付かなかったことも、分かるようになるんですね。

杉  私も発達障害の方で、なかなか言語化をするのが難しい方がいらしたんですが、継続的に表を作成していく中で今はオレンジ色かなとか、そういう形で表現をしてくれるようになった方がいます。
また、自分で今の状態は自覚出来ているんだけども、その時に周りにサインを出す事が難しくて、青信号の状態から突然赤色信号になって初めて爆発することで周囲に伝わるという方がいて。表を書くことでそのこと自体に気づけたと。さらにじゃあ今度はそれをどうやって周りに伝えていこうかとか、対応策を一緒に考えていくきっかけになった事もありました。
本当に十人十色で全然違うんです。やってみてわかることとか、今までいかに聞けてなかったかという部分に気づかされたりします。

ーー導入してみて、初めて気づけたところもあるんですね。

須佐  多いですね。特に最初のヒヤリングをしていく中で、症状を聞くと、そういうのがあったんだ、みたいな。逆に対処方法とかも、毎朝ヨガやってますとか言われて。えっヨガやってたの?とか。

杉 結構出来ないことや症状の訴えが多いので、出来ていることは出てこないです。皆さん。日課があったりとか。

須佐  当たり前にしていることを、自分自身でちゃんとコントロールしていたんだという話を初めて聞いたりして。自分で実は心がけているけど言語化してなくて共有できてなかった、他の関係者も知らなかった、そういう話を初めて聞くことも多いです。

ーーご本人だけが頑張っているというか、意識してやっていた事がたくさんあるんですね。ちょっと話しにくいとか、話せない人が傾向としては多いですもんね。

須佐  そもそもそういう話を聞くまでに至らなかったというケースも多くて。
普段から心がけている事みたいなことを、あまり聞くきっかけがなかったんです。

 

【デライト葛飾 杉看護師(左)、デライト新宿 須佐所長(右)】

 

 

 

 

 

 

 

 

【編集後記】 ブログ第15回は須佐所長、杉看護師への座談会形式での掲載1回目です。
クライシスプラン導入に向け、お二人にはリーダーとして取り組んでいただいています。
次回は、クライシスプラン導入を進めていくうえでの苦労や今後の展望などをお伝えする予定です。

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