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デライトブログ 第4回 「精神科特化の訪問看護ステーション その2」
ブログ第4回「精神科特化の訪問看護ステーション その2」
(ブログ第3回「精神科特化の訪問看護ステーション その1」はこちら)
訪問看護ステーション デライト新宿
看護師 浅香茂樹
--デライトは精神科に特化していますが、その最大の特徴というのは何でしょうか
精神科に特化したスペシャリストとして、利用者さんに安心して利用していただける面が大きいと思います。
内科などの身体疾患の場合は、血圧をはじめとするバイタルサインだとか、客観的な検査データで症状を捉えることができますが、精神疾患はデータでは測れない部分がほとんどです。
だから、精神科というのは主観とか私的な部分で看護していると思われる方もいらっしゃるかも知れません。でもやっぱり他の科と同じで、専門的な観察力や思考力、それを患者に伝える伝達力、そういったものは大切なんです。
そしてそれは精神科専門の看護師でないと、なかなかわからない部分が多いんです。
薬の飲み方ひとつにしても、特殊な飲み方のお薬があったりするんです。例えば舌下錠といって、舌の下に置いて溶かしていくような錠剤もあります。そういうのは、入院中でしたら看護師から細かな説明を受けられますが、外来通院をしているような方には上手く伝わらなかったりします。そこで、私たちが訪問のときにご説明するということが大事になってきます。
あとは副作用の危険性などについても、文献で調べれば分かる部分も多いでしょうけれど、精神科の看護師として慣れた人なら、より詳細に、こういう場合はこの副作用が出やすいといったところまで把握できます。そうしたきめ細かい観察や指導が、訪問看護師という立場からでもできるのではないかと思います
--精神科に特化することが、利用者にとってメリットがあるとすれば、それはどんなことでしょうか?
より専門性のあるスタッフが関わり、より細かい看護ができるということです。
いま世の中に訪問看護ステーションがたくさんあるんですけど、精神科に特化したステーションというのは少ないんですよ。
同じ訪問看護ステーションでも、寝たきりの方とか、ターミナルの方(死期の近い方)を見ておられるところでは、精神疾患の看護は難しく、状況に応じた細かい対応ができません。
なので精神疾患の方が他の訪問看護を利用した後、「やっぱりデライトさんにお願いできませんか」となるケースが、けっこうあるんですね。
逆に、ターミナル専門の訪問看護は、いつ緊急事態が来るかわかりませんから、昼も夜も常に対応できる体制をとっています。そうした環境下で精神疾患の勉強もするというのは、実際のところ難しいでしょう。
私たち看護師だって、どこか専門を絞って集中的に勉強をしないと、なかなか身になりません。そこでデライトとしては、精神科を軸に、精神疾患をお持ちの方を中心に看護をしています。
病院がそれぞれ専門の「科」を構えているのと同じように、訪問看護ステーションも、これからは専門化していくのだろうと思います。その中で、デライトは精神科を専門にしているということですね。
ただ、内科的な疾患を併発していらっしゃる方も多いので、内科についての基礎的な知識は全員が持てるように勉強会などを開いています。
--デライト新宿のような訪問看護を利用する人は、どういうきっかけで利用するんですか?
退院するタイミングで、病院を通じて依頼を受けるケースが多いです。
何度も話に出ていますが、再入院を繰り返しているような方は、一人でお薬の管理ができないとか、ストレス対処法が実践できないとか、そういう理由で再入院を繰り返すケースなので、そういう方に対して病院の方から、訪問看護を入れてみてはどうかと提案がされるのです。
でも最近は、自分で必要と感じて連絡をいただけるケース、あるいは家族の様子が心配だから来てほしいといった、個人からの依頼も少しずつ増えています。
--浅香さんが、精神科の訪問看護をする上で、目指している物はなんでしょうか?
患者さんも精神疾患は持っていますけれど、普通のみんなと何ら変わらない人間ですので、やはり「目標」というものをもたないと成長していくことができません。
患者さんに、大きなものでも小さなものでもいいので、目標を考えていただいて、「じゃあその目標のためには何が必要か」とか「そういう目標を持つことはこういうことに繋がるんだよ」とか話す機会を設けまして、利用者さんが目標をもって、前を向いて少しでも自立するという意識を持っていただきたいなと思います。そのために、私も一緒に目標を考えるようにしています。
--目標というのは、働けるようになるということですか?
そういう目標を置いている方もいらっしゃいますけど、決してそれに限るわけではありません。小さいことでもいいので、自分がこれをしたいなと思える目標を自分で立てることが大切なんです。例えば食事を美味しく味わえるようになりたいとか、そういうことでもいいんです。
引きこもっていてなかなか外に出れないような方もいらっしゃいますので、そういった方には一緒にお散歩を兼ねて近くのコンビニに行ってみたりもます。そして次回は頑張って一人でいってみようねと。そういったことも「小さな目標」です。
もしかしたら本人にとっては、それは小さくはない、かなり大きな目標であるかも知れないんですが、まずはできるところから目標を置きます。
そういう目標の積み重ねによって、たとえば就労という目標を果たせたり、あるいは別の形で、その人らしい生き方を実現することに繋がると思うんです。
【デライト新宿 浅香看護師】
【編集後記】
ブログ第4回は第3回に引き続きデライト新宿の浅香看護師へのインタビュー形式にて行いました。今回は精神科に特化した訪問看護ステーションの利点などに触れられていましたね。精神科訪問看護のプロ集団の一員として、デライトのスタッフは日々研鑽に励んでいます。