デライトブログ 第1回 「訪問看護のあれこれ その1」 精神科に特化した訪問看護ステーションデライト

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デライトブログ 第1回 「訪問看護のあれこれ その1」

ブログ始めました。

デライトグループでは、訪問看護(訪問介護ではありません)をもっと知ってもらいたい!訪問看護スタッフの活動内容をもっと知ってもらいたい!という想いからブログを始めることにしました。当デライトグループの活動内容を通じて、訪問看護の良さやスタッフの想いや喜び、苦労を知っていただけますと幸いです。

 ブログ第1回「訪問看護のあれこれ その1
 訪問看護ステーション デライト葛飾
 所長 長土居美紀

デライトグループは精神科に特化した訪問看護ステーションのため、精神疾患をお持ちの利用者さんの事例が主になっております。

【医療だけではなく日常生活まで】
○医療のことだけでなく、日常生活の悩みも聞いてくれるということですが、たとえばどんな風に?

 私たちは、精神疾患がありながらも地域で生活する方の支援を行っています。精神や身体の健康管理、服薬に関することだけでなく、安心して自立した日常生活が送れるように、ご本人が困っていることや不安なこと、うまくできないことをサポートしています。在宅で暮らしていく中で、身近で何でも相談できる存在でありたいと思っています。家族との間を取り持つことや、通所先での人間関係、主治医に病状をどう伝えたらいいか?等の相談に乗ることもありますし、掃除を一緒にやったり、外出訓練として散歩や買い物に付き合ったり、コミュニケーション訓練として雑談をする、トランプや将棋などのレクをすることもあります。その方の苦手を克服できるよう、その方を取り巻く人間関係が円滑にいくよう、その方に合わせた支援をさせていただいています。

【医療面でのアドバイス】
○医療面のアドバイスというのは、具体的にはどんな感じなのでしょうか?

 訪問看護は、主治医の指示に基づき、訪問看護計画書を立案し、その計画に沿って看護を提供します。
 ご利用者さんに症状があったとしても、その症状とうまく付き合いながら、病状が悪化することなく在宅で安心して生活できることを目標としています。悪化する時のきっかけは人それぞれで、ご自身で気づける方、気づけない方、様々です。まずは、その方の今までの経緯や今の病状、思いを良く聴くことを大事にしています。その上で、看護師としての知識や経験をもとにアセスメントし悪化の早期発見、早期対応に努めます。クライシスプランを一緒に作成し、病状の変化を可視化したり、不調の時の対処法を考え、セルフケアできるように支援することもあります。必要に応じて主治医をはじめ、他の支援者の方々とも連携し適切な治療や支援の方向性を検討していきます。支援をする上で、支援者のための支援にならないように、ご本人やご家族がどうしたいか、どうなりたいかという思いを大事にしています。
 また、病状の観察だけでなく、規則正しい服薬も病状安定のためには必要なことですが、管理することだけが支援ではありません。以前から怠薬や過剰服薬で病状が悪化し入退院を繰り返している場合は、十分説明してこちらで管理させていただくことが多いですが、多少間違いがあっても自己管理できていて病状に大きな変化がない場合は、飲めているか、気になる副作用はないかなど確認しています。できていることを看護師がやってしまわないよう意識しています。服薬することに抵抗があり飲めていない場合は、まず、飲みたくない理由を聴きます。飲んでいた方がよさそうとか、飲んでも問題ないんだと実感できないと飲めないだろうなと思っていますので、場合によっては疾病教育から始めたりします。
 

【困ってしまうこと】
○ときには困ってしまうこともあるとか。

 人との距離をうまく保てない場合、依存関係になったり、何かのきっかけで陰性感情を持ってしまうことがあります。看護師とご利用者間の関係性が損なわれてしまうと、訪問することすらできず、支援できなくなってしまいますので、あえて担当制ではなく複数名のスタッフが交代で訪問させていただいています。コミュニケーションが苦手で色んな人と話すことに抵抗がある方も少なからずいらっしゃいますが、その場合も始めの1~2ケ月くらいは同じスタッフが訪問しますが、その後は他のスタッフも同行させてもらいます。そして少しずつ馴れてもらえるように関わります。
 

【担当制ではない理由】
○デライト葛飾では、担当制はとっておらず、一人の利用者さんを複数の看護師が持ち回りで訪問しています。

 前段のように、ご利用者ー支援者間の適度な距離感を保つため、また、看護師がお休みや体調不良等で訪問できなくなっても、訪問看護が中断してしまわないようにという理由もありますが、看護師はそれぞれ経歴が異なり、得意分野も違いますので、視野を広げアセスメントが偏らないようにする目的もあります。

【インタビューに答える長土居所長】

【病棟での看護、訪問看護の違い】
○かつては病院で看護師として勤務していたそうです。それがなぜ、訪問看護という仕事を選んだのでしょうか?

 以前は整形外科病棟の看護師をしていました。でも座る暇もないくらい忙しくて常に走り回っているような職場だったので、やりがいはあったのですが家に帰ってから疲れてしまい、一度座ると立ち上がれず、子育て中の私にはしんどかったです。。
 それで、人材紹介会社に「もっとワークライフバランスを保てる職場を探しています。」と伝えたところ、訪問看護ステーションを勧められました。デライトは2社目の訪問看護ステーションになります。
 デライトグループの訪問看護には夜勤がありません。夜間対応がなくて、時間通りの働き方ができる職場です。それが、その時の私にとって、病棟勤務より向いていたのだと思います。
 また、訪問看護の世界に飛び込んでみて感じたのは、ご利用者さんとこんなにも向き合える仕事は訪問看護の他にはないということです。病院で働いている頃は、患者さんとここまで会話する時間も人生に寄り添う瞬間もなかったと思います。限られた資源の中で、多職種の方との連携や工夫なども必要で、ご利用者さんの人生に向き合いすごく考えさせられることもありますが、私たちの関わりの結果、ご利用者さんや多職種の方と喜びを共有できた時、大きなやりがいを感じることができます。
 そして、だからこそ大変な部分もあり、親身になりすぎて自分のことのように、家に帰ってもずっと考えてしまったりすると、自分までしんどくなってしまいます。自分自身が心身ともに健康でなければ、ご利用者さんに良い看護は提供できないと思っています。その意味で、仕事とプライベートの気持ちの切り替えがとても大事な仕事です。

【編集後記】

 ブログ第1回はインタビュー形式にて行いました。記念すべき第1回!ということでグループ内でも不明瞭な役割分担の中で多少の混乱のスタートをしましたが、私が思っていた以上にデライトグループの実践的な看護内容に触れることができました。
 始まって2年が過ぎたばかりの訪問看護ステーションですが、ブログを通じて、訪問看護の良さ(ついでにデライトグループの良さも!)を知っていただければ幸いと思います。
 至らないところもありましたが無事に編集を終えることができました。次回も暖かく見守っていただけると嬉しく思います。
 最後に編集に携わってくださいましたパインプレーリー合同会社の松原大輔様、編集文筆事務所の西谷有人様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。