デライトブログ 第12回「精神科訪問看護を利用して その2」

デライトブログ 第12回「精神科訪問看護を利用して その2」

 訪問看護ステーション デライト桜新町
 ご利用者 Y様
 訪問看護師 中村義幸


今回は、前回に引き続きデライト桜新町のご利用者Y様へのインタビューです。
(ブログ 第11回「精神科訪問看護を利用して その1」は こちら

ーー一人で暮らしているわけですから、毎日の家事だけでも大変ですよね。

中村:そうですね。そこで「職業準備性のピラミッド」という図を紙に印刷して持っていきました。
これは、人が就労できるようになるまでにクリアすべき課題点を、ピラミッド型に並べたものです。下から順に
「健康管理」「日常生活管理」「対人技能」「基本的労働習慣」「職業適性」
と5段階に並んでいます。下の段階をクリアできないのに無理に上の段階をやろうとしても破綻してしまうので、順番にクリアしていきましょうと、そういう意味の図表です。

Yさん:この図がとてもわかりやすくて。自分が次に何をするべきなのか、これではっきり見えてきました。

中村:仕事をするためには、まず一番のベースとして、心と体の「健康管理」が最初にクリアすべきことです。ですので、まずは気負わずに、気分転換を中心にやっていきました。
そして、ある程度心と体が整ったら、次は「日常生活管理」、これは要するに生活のリズムを自分でコントロールできるということですね。具体的には、睡眠とか食事のことをアドバイスしました。
次が「対人技能」。精神の調子が悪くなると対人トラブルも多くなりがちです。今のYさんには対人トラブルは全くないんですが、当初はしばしばありました。
次の「基本的労働習慣」については、もともとお母さんと一緒に働いていたということで、最初から身についていました。
そして最後に「職業適性」です。今までのことがちゃんとバランス良く噛み合って、お店をひとりで営業できるようになることを目指して、僕たちも支援していったわけです。

Yさん:私は最初のうちは無我夢中で、なにも難しいことは考えられずに中村くんに頼り切っていたので、途中でこの図を見せていただいて、中村くんの綿密な計画をあとから知ったんです。
店を開けるということについても、ぼんやりとした希望はあったんですけど、できるという自信はありませんでした。最初のうちは生活の乱れがひどかったので、自分の住まいをなるべく整えるということだけに集中していたんですよ。
ですが、雑談の中でお店のことに話が及んだ時に、中村くんが「やったらいいじゃないか」と言い出して、私の背中を押してくれたんです。そして去年の9月からお店の再開に向けての準備を始めて、今年の2月に再開できたという形です。

ーーYさんはもちろん、通院と服薬もされているわけですよね。でもそれだけではここまで良くはならなかった?

Yさん:通院している医師もとても良い先生で、お薬の内容とかその必要性についてとても丁寧に教えてくださるんですが、生活の中で起こった細かなことを、いちいち相談できるわけではありません。
そういった生活面の困り事は、中村くんに相談できるということがありがたかったです。店を開けることを目標に定めてからも、それはずっと続きました。

ーーこれからもデライトの看護は受けていくのでしょうか?

Yさん:ええ、私もそれを強く希望しています

ーーでは中村さん、Yさんのように生活が良い方向に変化していくケースというのは多いんでしょうか。

中村:ここまで目に見えて良い方向に向かうのは、最もうまくいった部類だと言えるでしょう。実のところ、すべての利用者さんに、ここまでハッキリと大きく変化があるわけではありません。
Yさんの場合は、ご自身の努力によるところが一番大きいと思います。特に、店を開けようという目標を作ってからのYさんは大きく変わりました。まあ、そこに至るまで時間はかかりましたけどね。

Yさん:本当にいろんな事がありましたね……。

中村:ずっと上り調子ではなくて、Yさんのうつは波があって、調子のいい時と悪い時の差が激しい。その落差が、さらに自分のエネルギーを消耗させていくんですよ。

ーー特に苦しかったり、きつかったりしたようなことはありますか。

Yさん:きつかったのは、とにかく気持ちが一時たりとも休まらないんです。何もしないでいると「自分はサボっている、怠けているんだ」という罪悪感が、強く湧いてきてしまうんですよ。
だから気持ちの上では常に動こうとするんですが、気持ちとは裏腹に、うつのせいで身体を満足に動かせないんです。そのことへの強い不安と焦燥がずっとあって、常に気が重かったんです。
それをコントロールしながら、体を動かしたり休んだりできるようになったのは、中村くんのおかげです。

中村:Yさんの場合、良かったのは、そこで気軽に相談してくれたことなんですよね。相談してくれずに自分ひとりで抱えちゃうような利用者さんもやっぱり多くて。そこは僕たちが関係性を深めて、なんでも言いやすい状態を作ることも看護師の技術なわけですが、Yさんは自分から細かいことでもなんでも相談してくださったので、それに逐一アドバイスできた。そしてYさんもそれに応えてくれた。それが、ここまで大きな改善が見られた要因なんだと思います。

ーーなんでも相談することが大切なんですね。

中村:ええ、とはいえ相談してもらえるように関係性を深めるのはこちらの責任でもあります。訪問看護で看護師に一番求められる技術はコミュニケーションだと思います。そこが一番難しい所ですね。

ーーなるほど。利用者さんとの関係がいちばん大切なんですね。

中村:僕たちが常に考えているのは、みなさんそれぞれに「理想とする生活」というものがあるはずなんです。それがわからないと言う人もいますが、本人が気づいていないだけなんです。
それを気づかせるのも僕たち看護師の仕事です。雑談のようなコミュニケーションの中から、この人はこんな感じの生活というのが理想なんだろうなというのを汲み取ってそれを提示する。それも訪問看護師の役割なのかなと思います。
とはいえ実際のところ「理想とする生活」に到達できるかどうかは、僕らのサポートと、あとは利用者さんの病状次第ということになってきます。

ーーそしてYさんの場合は、理想の生活とは「お店をやっていくこと」だったんですね。

Yさん:今の私がいるのは、中村くんを始めとした看護師さんたちに出会えたからだと思っています。もし出会っていなければ、今の私はなかったと思います。きっと今も「どうしようどうしよう」で明け暮れていたと思います。
店の再開も「できたらいいなあ」くらいの気持ちだったのが、中村くん達が背中を押してくれたから実現したんです。中村くん達が、私を「なりたい自分」にさせてくれたんだと、心からそう思っています。

 

 

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【デライト桜新町 ご利用者Y様(右)、 中村看護師】


【編集後記】
ブログ第12回はデライト桜新町利用者 Y様と中村看護師へのインタビュー形式での掲載2回目です。
Y様がお店を再開するまでに復調されたこと、また、そのお手伝いができたことはとっても嬉しいですし、スタッフ一同励みになります。この度は快く取材をお受けいただきありがとうございました。

 

 

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