デライトブログ 第11回「精神科訪問看護を利用して その1」

デライトブログ 第11回「精神科訪問看護を利用して その1」

 訪問看護ステーション デライト桜新町
 ご利用者 Y様
 訪問看護師 中村義幸


今回は、デライト桜新町のご利用者Y様へのインタビューです。
精神科訪問看護の利用により症状が改善された好事例として、快くインタビューに応じていただきました。また、当日は、看護師の中村も同席し、Y様への関わりについて話してもらいました。

 

世田谷区深沢の「TAKENOYA」は、洋裁手芸材料と猫グッズのお店です。
実はこのTAKENOYAは、長い間休業状態にありました。店主のYさんがうつ病の症状により、店を開けることができなかったのです。
しかし、医師による指導と薬物療法、ご自身の努力、そしてデライトの訪問看護によって病状は好転。今年の2月から、営業を再開しています。
Yさんと、看護を担当したデライト新桜町の看護師・中村さんに、訪問看護の現場でどんな事が行われているのか、お訊きしました。

ーーまず、TAKENOYAというのはどういうお店なんですか?
Yさん:基本は洋裁手芸材料のお店で、猫グッズの販売も行っています。この土地で昭和33年から続いている店です。ですので、屋号が「TAKENOYA」というちょっと古めかしい感じなんですけれど、先祖代々から継いできた店なので、あえて名前を今風に変えるようなことはしていません。

ーーYさんはいつからTAKENOYAの営業に携わっていたんですか?
Yさん:そもそも、私がこの深沢の町に戻ってきたのが30歳の時だったんです。それまで長期間うつ病で入院していたんですが、退院できたので夫と二人で戻ってきました。それ以降は、夫がマスオさん的な立場になり、両親と夫と私の4人で暮らしておりました。
お店の営業は主に母が中心となり、私はできる範囲で手伝うという形でした。私はうつ病のなかでも特に波があるタイプで、調子のいい時は仕入れや接客などを担当することができたんですが、できる時とできない時とで、すごく激しいムラがありました。

ーーなるほど、では、デライトの訪問看護を受けるようになった経緯は?
中村:それは僕からお話しします。Yさんは、以前は他の訪問看護ステーションと契約していらしたんですが、そこが営業を中止することになってしまって、僕たちデライトの方に、一昨年の10月から移行したという形です。

ーー最初に入られた時のYさんのご様子は、いかがでしたか?
中村:その頃のYさんは比較的短い期間でご主人とご両親を立て続けに失ったばかりだったので、元々のうつ病に加えてその心理的な反応から状態は良くありませんでした。お店のシャッターも閉めたままでした。

ーーご家族との死別というのは、誰でもふさぎ込む原因になってしまうでしょうね。
中村:そうですね。そのため、最初は気分転換を兼ねて雑談を通じて関係性を構築していったんです。

ーー雑談というと、どんな?
中村:ごく日常的なことですね。お店をやっていた頃のお話とか、旦那さんとの思い出話。あと、好きな音楽と本についての話をたくさんしました。

Yさん:主人は音楽をやっていたので、その関係で今でも家の中にはたくさんCDがあります。

中村:その頃のYさんは、これから生きていく上での目標が見つけられず、どうしたらいいのかわからないという様子だったんです。
そこで僕は「Yさんが今まで一番安定して過ごせていた時期はいつだったんだろう、どういう状況だったんだろう」ということを探っていきました。そして「それはお母さんとお店をやっていた時期だろう」という結論に達したんです。
なので、「また回復したらお店を再開しませんか、再開することを目標に据えてみようじゃありませんか」と提案しました。そしたらYさん自身も「ぜひやりたいです」とおっしゃってくれたんです。

ーーYさんが、中村さんに初めて出会った時の印象は?
Yさん:あの、普段どおりに「中村くん」と呼んでいいですか? そっちの方が話しやすいので(笑)。
私はおととしの10月に母を亡くして、それからすぐに中村くんと出会ったんですが、その時の私はひたすら呆然としていたんです。どうしていいかわからなくて、身の回りの品の片付けや家事も満足にできない状態でした。
そんな中で、中村くんに初めて出会った時の印象は、どこかイイところのおぼっちゃまみたいな印象で、どういうお話をしたらいいのかなって、こっちも戸惑いました(笑)。
でも、本とか音楽についてのお話をしていくうちに、こちらもリラックスしてきましたし、とても真面目な方だというのもわかりました。ですから信頼を置けるようになったのはすぐでした。

ーー最初のうちは雑談からはじまったんですか?
Yさん:ええ。気負わない日常の話から始めて、こちらがリラックスできるように持っていってくれました。
その時期の私はとにかく、生活の基礎があやふやだったんです。にぎやかだった家が急に一人暮らしになってしまって、一日の過ごし方の基本、起きる時間や寝る時間のペースとか、掃除が行き届かないとか、他にもいろいろ滞っていたことも多くて、「どうしようどうしよう」とずっと不安にかられていたんです。
そんな時、中村くんは、「なんでも相談してくれていいですよ」と言ってくれたんです。ですので、不安が強く出てくるたびに中村くんに相談しました。すると素早く「今日は無理せずやめといたほうがいいでしょう」とか、するどいお答えを頂いて(笑)。そのおかげで少しずつ不安も薄れていき、なんとか最低限の身の回りのことは、ひとりでできるようになっていきました。

中村:Yさんの場合は「活動と休息のバランス」というものが上手くいってなかったんです。どうしても、家事だとか、お店再開に向けての作業だとか、いろんな行動を急ぎすぎてしまう傾向がありました。焦ってしまっていたんですね。その結果、睡眠が上手く取れなくなってしまったり、気持ちが沈み込んだりとか、そういうことが頻繁にありました。そこが心配な点だったので「どんなことでもいいので相談してください」と常に言ってたんですよ。

ーーなるほど。頑張りすぎてしまうということですか。
中村:どこまで頑張るべきで、どのへんでやめたらいいのか、その加減がひとりでは客観的にわからないんですね。
それから、Yさんに限らずうつ病の方に多く見られる傾向として「常に何か作業をしていないと罪悪感を覚える」という気持ちがあるんですよ。自分はサボっているんだ、怠けているんだという罪の意識を常に持ち続けてしまうんです。Yさんにもそれがあるように思われたので、僕からは「休んでもいいんだよ」という内容の返答をさせてもらいました。
そうやって長い時間をかけてアドバイスしていく中で、Yさん自身の判断で作業の量を調節できるようになっています。そこまでできるようになったから、次の段階である「お店の再開」という目標も、具体性を帯びてきたわけです。

 




 

























【デライト桜新町 ご利用者Y様(左)、 中村看護師】


【編集後記】
ブログ第11回はデライト桜新町利用者 Y様と中村看護師へのインタビュー形式での掲載1回目です。
筆者も久しぶりに訪問看護の現場に立ち会わせていただきました。次回は、Y様と中村看護師へのインタビュー第2回です。

 

 

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